研究内容
再生医療、疾患再現・創薬研究、オルガノイド成熟化を柱として、iPS細胞と三次元組織工学を基盤に次世代の循環器医療の実現を目指しています。
研究の3本柱
ヒトiPS細胞と心臓オルガノイド技術を基盤に、再生医療、創薬、成熟化研究を統合的に進めています。
再生医療
移植用心筋組織や血管化組織の開発を通じて、重症心疾患に対する新しい治療法を目指します。
疾患再現・創薬
心疾患モデルや heart-on-a-chip を用いて、病態理解と薬効・安全性評価を進めます。
オルガノイド成熟化
電気刺激・機械刺激などの物理的トレーニングにより、生理機能の高度化を図ります。
1.再生医療
私達の研究室では、再生医療に関するさまざまな研究が行われています。特に、iPS細胞を用いた心臓病の治療法の開発に焦点を当てています。この分野では、iPS細胞から分化した心筋細胞などの心臓を構成する多様な細胞群を使用して、心筋梗塞や心不全などの疾患に対する新しい治療法の研究が進められています。
特に私達の研究室では、iPS細胞を用いた組織工学的アプローチに基づくオルガノイド技術を活用した研究がさかんに行われています。心臓の構造および機能を模倣したオルガノイドを作成し、これを用いて心臓再生のメカニズムを解明し、心筋組織の再生に伴う機能の回復を目指す「真の」再生医療に向けた研究が進展しています。
また、再生医療の治療効果を促進するバイオマテリアルの応用についても研究を行っています。このような研究は、将来的には心臓再生医療における応用が期待されています。
参考文献
2.疾患再現および創薬研究
私達の研究室では、iPS細胞やオルガノイド技術を駆使して、さまざまな疾患モデルを再現し、創薬の可能性を探る研究が進められています。特に、心疾患や血管障害に関連する疾患モデルを用いて、病態の解明と治療法の開発を目指しています。
Organ-on-a-Chip(OoC)技術を用いた創薬研究も進められており、心臓や血管の構造を模倣した OoC(ハートオンチップ)を作成し、疾患における細胞間相互作用や薬剤の反応を観察しています。この技術は、動物実験の代替としても期待され、より人間に即した治療法の開発を支援するものです。
私達の研究室の疾患再現および創薬研究は、病気のメカニズムを理解し、それに基づいた新しい治療法の開発を目指しており、再生医療と創薬の両面で革新的な成果を生み出すことを期待されています。
参考文献
3.オルガノイドの成熟化
私達の研究室では、iPS細胞を用いて作成したオルガノイドの成熟化を促進し、より生理的に近い状態にすることを目指しています。オルガノイドは、細胞が自己組織化して特定の臓器や組織の構造を模倣する三次元の細胞集合体ですが、これらが十分に成熟することは再生医療や疾患モデルの精度向上において重要な課題です。
オルガノイドの成熟度を高めるため、機械的刺激や電気刺激を与える「物理的トレーニング」を試みています。特に、心筋オルガノイドに対しては、収縮運動を促すための機械的な負荷を与えることで、心筋細胞の機能を成熟させる研究が進められています。このような刺激により、心筋オルガノイドの収縮力や電気的活動が強化され、より本物に近い機能を持つオルガノイドを得ることができます。
さらにオルガノイドの成熟化に関与する分子メカニズムを解明し、その過程を調節するための方法が探求されています。例えば、心筋オルガノイドの成熟を促すために、特定の転写因子や細胞間シグナル伝達経路を活性化することが研究されています。また、オルガノイド内での細胞間相互作用を改善することにより、成熟度の向上を図っています。
また成熟したオルガノイドの機能を評価するために、心筋オルガノイドの収縮力、電気的活動、代謝機能などを計測し、成熟度を評価しています。この評価に基づき、どの刺激や条件が最も効果的であるかを特定し、オルガノイドの生理的機能を最大化するための最適条件を見つけ出すことを目指しています。
私達の研究室のオルガノイド成熟化に関する研究は、再生医療における治療法の精度向上や疾患モデルの再現性向上に大きな貢献をしており、最終的にはより実用的な臨床応用への道を開くことが期待されています。